- 2009年6月の展覧会: 大沼蘭 展
- プロフィール
- 作品集
2009年6月の展覧会: 大沼蘭 展
2009年6月24日(水)〜7月4日(土) 11:00〜18:00 (最終日は17:00まで)/ 日曜・祝祭日休廊 (地下一階ギャラリーにて) |
出品予定作品/コメント
今回の展示では新聞記事「マンゴーからピーチ」をテーマにした作品を中心に発表します。
「マンゴーからピーチ」はアメリカのクローンペットビジネスの現状にについて2005年の朝日新聞日曜版に掲載された記事です。記事は愛犬のクローンを望む富豪の寄付によって設立されたクローンペット会社とそこで生まれた猫のピーチ(クローン)、ドナーのマンゴーを取材し、一緒に載っていたピーチとマンゴーを抱く飼い主の女性の笑顔の写真が印象的なものでした。読んだ当時は失った命を取り戻そうとする行為や、それが現実にビジネスとして動き出していることに漠然とした不快感を受けながらもその不快感が未知のものに対する違和感からなのか、クローンによって個を喪失することへの恐れからなのか、それともエゴイズムとも思える愛情への嫌悪感からなのか自分でもはっきり判断がつかないまま取りあえずスクラップしておいたのです。そんな引っかかりを時々思い出しながら4年経って記事を読み返してみると、つい最近成功して話題になった犬のクローンが当時はまだ研究中だったこと、ニュースで見たクローン犬の飼い主こそ会社設立の寄付をした富豪夫妻だったことなどが繋がって、あの時感じたもやもやとした感情の理由をそのままにしていた間に私たち人間の好奇心はまるで入れ子の箱を開けるように突き進んでいたのだと感じました。
私にとって作品を作ることは自分の心に引っかかった物事を彫塑のように足したり引いたりしながら段々とその正体を探り出して行く作業だと思っています。今を生きる人々の不安感も私の制作テーマの一つですが、その不安を目の前に引きずり出すというよりは作品にすることでその正体を理解し、どう扱っていくのかを自分なりに見つけようとしています。
サブタイトルに選んだ「coexist ― 共生」という言葉もそんな作業を続ける中で意識するようになりました。Coexistは辞書を引くと「同時期に、また、同じ場所で互いに存在し合うこと。違いに関わらず自分以外の他のものと平和に暮らすこと」と出ています。制作をしながら、入れ子の箱を開け続けようとしている私たちが意識的に素通りしようとしていることはこんな言葉の中にあるのかも知れないと思いました。
大沼 蘭 プロフィール
1971年 | 東京生まれ |
1996年 | 東京造形大学 彫刻科卒業 |
1998年 | 東京芸術大学大学院美術研究科 文化財保存学専攻保存修復彫刻修士課程修了 |
2000年 | ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ Postgraduate Diploma (Fine Art) 修了 |
2001年 | ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ M.A Fine Art 修了 |
2002年 | ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ Associate Research in Fine Art 修了 |
展覧会 | |
1996年 | グループ展「Group Show」(世田谷美術館/東京) |
1999年 | ロンドンビエンナーレ「Window shopping」(ロンドン) |
2000年 | グループ展「Kindergarden」(墨田区幼稚園/東京) |
2004年 | グループ展「3人展」(Bower Gallery/テキサス) ART MARUNOUCHI 東京コンペ♯1(丸ビル/東京) |
2007年 | 個展「大沼蘭展 A SWARM OF GIRLS」(Gallery ni modo・東京) |
2008年 | グループ展「眼差しと好奇心"Eyes & Curiosity― Japanese Contemporary Art"」 (SOKA ART CENTER TAIPEI/台北) グループ展「SAKKA*ZAKKA」( Gallery ni modo/東京) グループ展「もっとテキーラくれくれ 〜アートで酔わせて」(Gallery ni modo/東京) |
2009年 | グループ展「テキーラテキエロ 〜アートに恋して」(Gallery ni modo/東京) |
賞与 | |
東京造形大学 校友会留学奨学生 ART MARUNOUCHI 東京コンペ♯1 ビジュアルアート部門 アーバンミュージアム大賞入選 |