1F川口麻里亜 展 －ときのゆかり―

川口麻里亜の個展を新生堂では初めて開催させていただきます。
東京藝術大学の日本画専攻を修了した川口。流れるような筆使いで描かれた猫の作品に魅了され、2022年の「見参」にて新生堂賞をさしあげました。
技術力の高さもさることながら、空気や風など目にみえない感覚的なものが絵の中に存在しているようで、何かを感じさせる間の描きかたが秀逸でした。
30号から小品の日本画やドローイングなど、今年に制作した作品を10余点展示いたします。

心惹かれたものを気侭に素描し、その中から本画にしたい絵を選び、ああでもないこうでもないと消したり描いたりしながら日々制作と向き合っています。
なぜ絵を描くのかと自問を繰り返しながら筆を握っていると、絵は自身の様々な縁を映し出してくれます。

学生時代は日本画材の魅力を如何に自分らしい方法で引き出すかということに悩み、囚われ続けていました。
もといた場所から遠く離れた今、ずっと心のどこかで探していた環境に恵まれ、自分に合った日本画との向き合い方を掴み始めたと思います。

自身の画道はまだ言葉にはできません。
ただ今は様々な縁に感謝しながら、素朴で穏やかな心をもって絵を描き、進み続けたいです。