2019年9月12日(木)~9月27日(金)
11:00~18:00 ( last day ~17:00 )
Closed on Sun,. national holiday.
【 B1 】
阪本トクロウ 展 -Weave-
Tokuro Sakamoto solo Exhibition
風景をフラットに描く阪本トクロウが、近年の制作の中で模索をしている技法に
「墨流し」があります。墨流しとは水に墨汁をたらし、そこに和紙を浮かべて墨を
転写します。
今までも水を撮影した写真を参考にしながら形を写しとるように描いてる「水面」
シリーズがあります。焦点があわないものをみると、表面の動きや形を目で追う
以外に、もっと内面の心理的な部分を同時に考えながら観ているのではないかと
いう発想から描きだしました。
しかし、水という形を捉えられない存在を、【形】としてのトレースではなく、
もっと違うアプローチから見出せないかと模索していった中で行きついた技法が
「墨流し」でした。
大きなプールをアトリエに持ち込み、何度も何度も墨を流した水の上に紙を置いて
いきます。墨の動きを捉えながら紙に写すという行為はある意味で版画の要素に似
ており、レイヤーの重なりをどうしたら出せるかというのには苦労したといいます。
結果をある程度予測しながら水に墨を流して写しとる。何重にもかさなり合った水
がつくりだした模様は、「水」という存在をとおりこし、つかみどころのないカタチ
から浮かび上がるさまざまな姿を、鑑賞側の心情を投影して見て頂けたら幸いです。
私の作品の制作手法では、まず自身が見つけたものの形を写真に撮り、それを転写、トレースして出来ているものが多いです。いくつか作品シリーズがありますが、その中に水面をモチーフにした作品があります。
水面の作り出す様々な模様のゆらぎや煌めきの美しさを元にオールオーバーな画面にしたものです。自然の形が作り出す模様の不思議さを発見し、それを画面に写し取り定着するのです。それならばもっとダイレクトな手法は無いだろうか?と考えていました。
今回の制作では「墨流し」というまさに現象をそのまま定着させる技法を使用しています。偶然出来たそのままの形です。この「墨流し」を何層か重ねたり、またイメージを重ねたレイヤー構造で絵画空間の奥行きを出せないだろうか?と思い実験し、ここ数年何点かの作品を作ってきました。
Weaveというタイトルは織るとか編むという意味で、偶然出来た線や形が交差し重なったもので空間と奥行きが作られる今回の制作手法から名付けました。画面の中をゆるやかに漂うように目が動く。そのようなものを目指しました。
阪本トクロウ
【略歴】
1975 山梨県塩山市(現・甲州市)生まれ
1999 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻 卒業
2001 早見芸術学園 日本画塾 卒業
|主な展覧会、受賞歴など|
2000 新生展 新生賞(’01入選) / 新生堂 東京
2001 昭和シェル石油現代美術賞 入選 / 目黒区美術館
2002 第21回安田火災美術財団選抜奨励展 / 安田火災東郷青児美術館 新宿
2003 第9回 リキテックスビエンナーレ 入選 / スパイラルガーデン 東京
2004 シェル美術賞 入選 / ヒルサイドテラス 東京
大木記念美術家助成基金
2005 個展「大木記念美術家助成基金 成果発表展」 /山梨県立美術館ギャラリーエコー
「ワンダーシード」 入選 / トーキョーワンダーサイト 東京
トーキョーワンダーウォール2005 入選 / 東京都現代美術館
2006 第3回東山魁夷記念日経日本画大賞展 入選 / ニューオータニ美術館 赤坂
2007 ART Shanghai2007<新生堂ブース> / 上海世貿商城 上海
2008 VOCA展 / 上野の森美術館 東京
ART Stage Singapore2008(’15’16’17) / シンガポール
2009 アートフェア東京(’11 ’12 ’14)
2014 「Horizon Of Choice」 / 山之内町立志賀高原ロマン美術館 長野
「千住博の弟子たち展」 / 軽井沢千住博美術館 ギャラリー館
2017 アートフェア「Art Stage Singapore」(シンガポール)(15,16)
その他 国内外アートフェア、個展、グループ展 多数
|パブリックコレクション|
・山梨県立美術館 / 山梨県 ・山梨県立文学館 / 山梨県