土田 康彦 Yasuhiko TSUCHIDA
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土田 康彦 Yasuhiko TSUCHIDA > Works

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<ヴェネチアン・グラス/技法の説明>
ガラスは3つの物質から成り立っている。その物質とは、熔解されたシリカから生まれるガラス質、シリカの熔解点を下げる熔解剤、反応を促進させる安定剤である。熔解剤とは、ソーダ灰や炭酸カリウムで、安定剤には通常、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムが用いられる。ムラノ・グラスの基本はソーダ灰である。基本的な熔解の割合は、シリカ75%、ソーダ灰もしくはカリウム13%、カルシウム12%である。色ガラスを作るには、金属酸化物を少量混入する。
原料を窯の中の坩堝に原料を投入し熔解することによってガラスはできる。坩堝の中に熔けているガラスの温度は、摂氏約1300℃である。

ガラスを細い棒状に引いたものを"カンナ(canna)"と呼び、色ガラスで直線や螺旋の模様を入れたものや、断面に絵柄が出来るように作ったもの(ムリーニ murrina)などがある。
一人が持つ鉄パイプについたガラス塊をもう一人が引っ張りながら遠ざかり、ガラス塊をまるでロープを持っているかのように動かし、ガラス棒を作る。ムリーニは、中にデザインが含まれたガラス棒で、断面図のデザインが重要視される。切断後、鉄板に並べて窯に入れ熔解し、作品を作るために使われ、色彩のコンビネーションは無限である。ムリーニは、四角や三角に形成されることもある。

■ 吹きガラス

板の上に前もって準備されたカンナやムリーニなどを並べてデザインし、その板を窯の中に入れ熔着し、板状のようになったガラスを吹き竿で巻き上げ、それをまとめて球を作り、吹いて形成する技法を"ロールアップ"という。
吹いて形成され、完成した作品は徐冷炉と呼ばれる窯の中に入れる。これは、ガラスが冷める間に内部に歪みが出来ないよう、ゆっくり常温まで覚ましていくために必要な作業で、作業中の炉内は480℃程度に保たれている。そして、作業終了後に、常温まで下げていく。

徐冷炉から出てきた作品の形を整えたり、更なる効果を与えるために研磨(加工)を施す。主に、平盤、石盤、木盤、フェルト盤といった機械を使う。平盤は水平に回転する金属盤で、底など平らを削るのに使う。石盤は縦に回転する機械で、作品の表面などを削って抉ったり、ラインを引いたり、数々の効果の可能性を与える。木盤は縦に回転するコルクで出来た部品の装着された機械で、ガラスに磨きをかけるのに使う。フェルト盤は縦に回転し、文字通りフェルトで出来た部分の装着された機械で、ガラスにつやを出すのに使う。これらの道具を順に使って、ガラスに様々な表情を与える。
吹きガラスで出来上がった作品は、このように数々の段階を経て完成する。

■ フュージング

板の上に前もって準備されたカンナやムリーニなどを並べてデザインし、その板を電気炉の中に入れ熔着し、平らな板状にする。

電気炉から出てきた板状のガラスの形を整えるために研磨(加工)を施す。

形を整えた平らなガラス板を鋳型に乗せて、再び電気炉に入れて加熱し、形を変形させる。

電気炉から出てきた皿状のガラス板に、エナメル絵付けを施す。エナメル絵付けとは、専用の顔料を使って筆やペンで模様を付けることで、絵付けが終わったら常温で顔料を十分に乾燥させ、乾燥したらそのガラスを再び電気炉に入れて、550℃程度までゆっくり加熱して顔料を定着させる。

フュージングで出来上がった作品は、3回もの電気炉による加熱を経て完成する。
 
 
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